彼女も走ってきたのか、息を切らしている。 たくさんの人たちが行き交う中、僕と彼女だけが立ち止まっていた。 「どうして……?」 僕は聞いた。 彼女は自分の胸元を見た。 ハイネックのニットの上から、ネックレスをかけている。 「これ、似合ってるかな?」 彼女は、そのネックレスを手にとって示した。 僕がプレゼントしたチューリップのネックレスだ。 ただ、僕が渡したときと少し違っていた。 あのときのチューリップの花びらは、黄色だった。 でも今は、黄色ではなかった。 赤いチューリップだった。