うわっ。


ゴンドラがグラリと揺れた。


観覧車が急停止した!


しかも真っ暗だ。


っと……


健二に寄りかかろうとしていた弾みで、体勢が崩れる。


前のめりになる――


「千佳ちゃん!」


健二が手を差し伸べてくる。



でも、止まらない。



そのまま前に――



え――?



両肩が、がしりと手で支えられた。


暗くて誰の手かわからない――なんてはずはない。


透の手だ。


目と鼻の先に、透の顔が迫っている。

彼の吐息が聞こえた。



そのとき――



透の腕の力がふわっと抜けた。



重くて支えられなくなった?



そうではなかった。



唇にひんやりとした感触を覚えた。




キス――?




暗がりの中、目を見開いた。




頭の中が真っ白になった。