「どうかした?」 健二のことばで、我に返った。 「ううん。なんにも」 健二に失礼だ。 こんなことばっかり考えて。 「そっか。よかった」 健二は屈託のない笑顔を私に見せた。 なんて純粋な笑顔だろう。 ごめんね……健二。 健二が愛おしくなった。 彼の肩に寄りかかりたい。 作戦じゃない。 それが私の正直な気持ち。 子猫のように健二に寄りかかろうとしたそのときだった。 突然、ゴンドラのライトが消えた――