「あ! ちょっと、ほら」 連れの女が透の肩を叩いた。 あれ? 「もうすぐてっぺんよ、透」 どうしたことか、彼女は急に話を切り上げた。 窓の外の夜景に関心を移したようだ。 「わぁ。ホント、きれい」 女は両手を窓につき、夜景に見入っている。 おいおい。 散々人を振り回しといてなんなのよ。 まったく、気分屋な女だ。 そんなことより、あと三十秒ほどで頂上に着いてしまう。 大至急、次の手を打たないと。 よし。 もうひとつ用意しておいた作戦でいこう。 その一よりも、グレードは落ちるが仕方ない。