「きれいだね」

不意に健二が言った。

「え?」

「この夜景……」

なんだ、夜景のことか。

一瞬自分のことを言われた気がして、顔が赤くなった。


ゴンドラは屋外に出て、半分くらい上っていた。

窓の外から、光で彩られた都市が一望できた。

今日はクリスマス・イブだから、普段よりもきれいなのかもしれない。


そういえば、と透を横目で見た。

透と一緒に夜景を見に行ったこともあったっけ……。

あのときは、時間が止まればいいのになんて思ったりもした。


って、何考えてんだろ、私。


すぐさま、思い出を心の奥に閉まった。