「いいんじゃない?
あいのりでも」

苦渋(くじゅう)の決断だった。


「え? いいの?」

健二は驚いている。

オーケーしたのが意外だったようだ。


「乗ろうよ。せっかく来たんだし」

「そ、そうだね。じゃあ乗ろっか」


「では、よろしいですね?」

タイミングを見計らって、美穂は確認してきた。

「お願いします」

健二は言った。


「ご協力ありがとうございます」

美穂はおじぎして、逃げるように乗り場の方に消えていった。


まったく。

誰のせいでこんなことになったと思ってるのよ。