「はい!!実は……先程城内の診察室に重症患者が、何人か来てまして、
私の力では苦痛を少し和らげる事ぐらいで、全ての苦痛を取り除いてやれなかったのです。
それが美琴様の歌が聞こえてきた途端に痛みが全く無くなり、顔色も良くなって、
起き上がる事が困難だった患者が
元気に歩き回る程の健康体まで回復したのです。」
イリュウは興奮気味に話したが、カイルは逆に浮かない顔で、イリュウの話しを聞いていた。
『あの…よく分からないのですが
私が何かしたのでしょうか?』
不思議そうに問いかけた美琴はまだ理解できていなかった
《聖姫様が聖なる力を使ったのです。
歌の力には躰の傷、病、心、
全てを癒やす力が有るようですね!?》
ニコニコと笑顔で答えるクルト
漸く自分の力を理解したが
あの貼り付けたようなクルトの笑顔はどうも胡散臭く感じる
美琴は小さい頃から人の顔色ばかり気にして育った所為か
本当の笑顔か、そうでないかくらいは分かる
それが唯一自分の身を守る術だから
美琴は少し警戒した
(何か意図があって私達に近づいたの?)
「お茶の用意が出来ました。
皆さんどうぞ休憩なさって下さい。」
疑心暗鬼に陥りかけた美琴は突然の侍女のサリーの声に我に返った。
(イケない!!!私何考えてたのよ!?)
『サリー有難う。
ちょうど喉が渇いてたのよ!?
クッキーもある!!
うわぁ~美味しそう』
自分の浅ましい考えを打ち消すように明るく振る舞った。
