『精霊って普通見えないものじゃないの?
何で今は見えるの?』
今まで見えたことがないのに何で?と小首を傾げる
『精霊の気紛れも有るだろうが、私は普段は見聞き出来ないが神力を使えば容易い事だが、
美琴が精霊を見聞き出来るのは、能力に関係しているからだろうな!?』
カイルの説明に納得をした。
クルトに向き直り思いついた疑問をぶつけてみた。
『それで私達に何か用事でも?』
《神の聖なる泉に現れ、金色(コンジキ)の光より生まれし姫!!!
聖姫(セイヒメ)だと、リネージの森の精霊達が噂していたから見に来たんだ!?》
カイルと美琴は困惑気味に苦笑した。
《姫!?歌を聴かせてくれないか?》
クルトは懇願してくるが、美琴は歌う事に戸惑い、カイルに助けを求めて目配せをした。
カイルも困惑したが、もう一度美琴の歌を聴きたいと想っていた。
『私も聴きたいが、
聴かせてくれないか?』
(どうしたら、いいの?)
昨日は無意識で歌っていたから、どう歌っていいのか皆目見当もつかない。
(歌って、
普通に歌えばいいの?
何歌えばいいの?)
それさえも、分からない。
想わず、カイルの手を取り、ぎゅっと、握っていた。
(カイルの手って、
暖かいな!?
心が暖かくなるし、
凄く安心する)
此処に来てからカイル達の人情に触れて、人の温もりを欲してしまったのかもしれない。
両親が死んで、5歳の時から人の愛情を感じた事がなかった美琴が、
渇いていた心が悲鳴を、あげて、もう崩壊寸前だったのだ。
(この暖かい気持ちのままで、皆に、感謝を込めて歌いたい。)
深呼吸を2・3回繰り返し、瞼を閉じて歌い始めた。