はあ。相変わらずだな。この光景は、入学してから毎日の日課みたいになってるから。
でも、今日は新学期の朝。こんな時間に先生が教室の前にいるなんてめったにない。しかも、生徒指導の板ちゃんには朝は校門にたってあいさつするっていう仕事があるはず。なのになんで、こんなとこに?


「・・・あの、板ちゃんなんでここに?」
私はふと、思い浮かんだ疑問を問いかけた。
「ん?・・・ああ、生徒指導係は今年度から変わったんだ。だから、先生はもう校門にたってなくてもいいんだ。」
「変わったんですか。」

「ちょっと、板ちゃん生徒指導変わったんなら、別に注意しなくたっていいじゃん。」
「ああ、まあそうなんだが・・・今年度は36HRの担任になったんだ。」
「「え”-----------。」」
「しかも、教育委員会のお偉いさんたちが授業を見に来る。そんときに、オレンジ髪の生徒が普通に授業受けてってのは問題なんだ。一様、西部のトップ3の進学校だからな。」
「「・・・・・・・。」」
「まあ、正直先生も髪の毛の色でその生徒の価値が決まるわけじゃないと思うが・・・。」


板ちゃんは、見た目はちょっと強面。しかも、野球部の顧問で体育の先生だから怖いけど。とってもいい先生なんだ。35歳。娘さんをとってもかわいがっている。いっつもだいたいジャージ着てるけど、始業式とか授業参観とかそういう行事の時だけスーツに眼鏡。フレーム無しの眼鏡がとっても似合う。結構カッコイイから女子から人気があるんだ。



「・・・・・・・・はあ、わかった。」
「「え”っ。」」

私と板ちゃんは、舞花が言った言葉に驚いて固まってしまった。
そんな私達を見て舞花は笑っていた。
「ははっ。二人ともなんて顔してんの。笑える。変顔の練習?!はっはっは。」


「ばっ板ちゃん。」
「こっ小林。今、鈴木なんて言った?!」
「わかったって・・・・。聞こえたけど・・・・。」
「だよな。先生の聞き間違いじゃないよな。」