コンベンションセンターまでは、車で30分かからない距離。

しかも、深夜だから、そんなに時間はかからないと思う。

2人きりの車の中で、店長が言った。

「ごめんな、
急にこんな事になって。
疲れただろう。」

店長は、ハンドルを握りながら、私の事を気にかけてくれた。

それは、私だけに言ってるのではないのは分っている。

優しい店長だから、みんなにも同じ気持ちなんだと思う。

だから、一社員として、私は言った。

「こんな事、
入社してから初めてで、
驚きましたけど、
楽しく花を挿す事が
出来ました。」

「そっか、
本当ごめんな。
ありがとう。」

「社員は
当然ですよ。」

店長は聞いていた。

「本当は、
ヘルプをって他の店長
にも言われたんだよ。」

「そうなんですか。」

「だけど、うちは、
うちのやり方でって
思ったんだ。」

確かに、他の支店の店長の言う通りだったかもしれない。

こんなにもたくさんの花が出るからだ。

どの店舗も4,5人で運営されている。

1人の人間の作れる数はたかがしれているからだ。

「でも、みんな
凄かったですよね。
あれだけの数
活けたんですから。」

「大変だからこそ、
みんなでやりたかった
んだよ。」

店長の横顔を私はみつめていた。

そんな話をしながらコンベンションセンターまで行った。