ある朝―――



お店の前で店長に会う。

時間は朝の8:30。

「おはよう。今日も早
いんだね。早番だった
かな?」

店長に声を掛けられる。

店長、坂下智樹28歳。

店長クラスでも、25歳で店を任された期待の人。

比較的、うちの会社自体、若い人が店長や主任になるのは珍しくはないのだそう。

だけど、うちの店長は、他の人よりも早く主任になって、店長までなった人。

店長いわく、運が良かったなんて言っているんだけど、

実力はあるって噂だ。

いつも優しく、分かりやすい教え方をしてくれる。

この人の下なら育つって私は思った。

優しいだけじゃダメかもしれないけど、

新入社員なんて、右も左も分らないのだから、褒めて伸ばして欲しい。

私の甘えかな。

初めて、大人の男性に触れて、温かさを感じたのかもしれない。

そして、私の片想いの人・・・。

「おはようございます
早番じゃないですけど
…」

私はうつむきながらも笑顔で答える。

店長はお店のカギを開け、いつものように笑顔で私を迎え入れてくれる。

振り乱した髪を、一つに束ねる私。

私は、外見おかまいなし。あんまり気にならない。

花屋に務めていながら、花が無い・・・。

あわてて髪を束ねる私に、

店長は
『くすっ』と笑う。

「あ~店長、私の事女
らしく無いとか、色気
ないとか思ってるでし
ょう~!」

私は、猫がじゃれつくように言ってみせた。