それでもいい。
誰に何と言われようと、今のあたしが一番好きだから。
そう思えるようになったんだから。
「春基、寒いの好き?」
息を白くさせながら、跳ねるように隣を歩く彼に聞いてみる。
「好きだよー」
「ホント?凄いね。
あたしはちょっと苦手かな…」
「何で?」
…………
「寒いとさ、誰かに寄り添いたくなるでしょ?
今までその対象がテツだったから…。
絶対、隣で温めてくれる事はないって 分かってたからさ」
だから嫌いだったの。
冷たくなった手を口元に持っていき
ハァー と息を吹きかける。
「……ふーん」
春基はそう言うと
息を吹きかけていた手を取り、握ったまま自分の学ランのポケットに入れさせた。


