「終わりましたよー」




ゆっくりと目を開ける。



思わずじいぃっと鏡をのぞきこんでしまう位に、自分の知らないあたしがいた。



「どうですか?」


「すごく…良いですね」






胸まであった髪はゆるく巻かれ、首のあたりでふわふわと揺れ動いていた。


黒かった色も、明るいアッシュ系のピンク色に染まっていて…



「春みたい」



そう思った。






待合室にいた春基に帰ると言いに行くと


読んでいたマンガを床に落とし


「ダレ!?」



と騒ぎ始めてあたしを笑わせてくれた。





「ありがとうございました」


良心的な店員さん達に送り出され


暖房の効いた店内から 日も落ち、凍えるような寒空の下に出る。




「寒い」


今まで首を隠してくれていた髪が無いせいで、一層の寒さを感じる。



「どうでもいいけど、怒られんじゃねぇの?」

親とか先生とか

「今まで真面目キャラだったっしょ」



「あー。怒られるっていうか、心配されそう。


グレたんじゃないかって」