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それからと言うもの、


何か行事がある度に…いや、無くても だけど。

彼はあたしの所へ駆け寄ってきて


『一緒にやろうよ』


と誘ってくるのだ。


一緒に組む相手がいないあたしとは違って、幾らでもパートナーは見つかりそうなものを。


何故彼があたしに執着するのか分からなかった。




―――結局あの時、泣いていた理由を話す事はなかったけれど


夏休み直前の放課後に、



「楓って、テツのこと好きなの?」



と聞かれた。




「な…に言ってんの?そんなわけ無いじゃない」



そう言ったあたしをじっと見つめる春基。



いつの間にか名前で呼ぶようになったあたし達を


周りは付き合っていると勘違いするようになっていた頃だった。



「嘘。だろ?


目が泳いでる」




分かってるよ、そんな事。



でもこれは隠し通さなければならない想い。


それを覚悟して心の奥底に仕舞いこんだのだから。





「ホントだよ。…もう良いでしょ?部活行かなきゃ」