彼の複雑そうな顔を見て良心が痛んだけど


あたしだって、苦しんでるんだ。



だけど、もう 今までのようにはいかない。


協力するって二人に約束したんだもの。



両思いだと あたしだけが知っているんだから。



友達、なんだから…




「何で泣いてるの?」



「!!」



顔中がぐちゃぐちゃなのも忘れて顔を上げる。



目の前に居たのは



「加藤…くん…」


ズボンのポケットに手を突っこんだままこちらを見る彼だった。



慌てて涙を隠す。



「もう見ちゃったから意味無いと思うけど」



言いながら ガガガ と椅子を引き、あたしの前に座った。



「…関係無いでしょ」


「……ふーん」




彼は詰まんなそうにそう呟くと、ケータイを取り出していじり始める。




「…何でここに居るの?あたし、一人に…」


「見て。俺んちの犬」




「え…?」