そう聞きたい気持ちをぐっと抑え、笑顔を作る。
「加藤君?何だかかなり人気みたいだよ」
机の上で胡坐をかき
購買で買ったメロンパンを、まっ平らに押しつぶして食べる彼をちらりと見た。
「ふーん…。明るいもんね」
…今見ているのは加藤君?
その奥に居るテツを見ているんじゃないの?
「もしアミが誰かと付き合うなら、加藤君とお似合いかもねッ。
美男美女で、みんな羨ましがるよ」
テツが好きなくせに、あたしに何も言ってこないアミ。
だからちょっと意地悪をしてみる。
そのまま加藤君を好きになってくれたら 良いのに。
「んー…。タイプじゃないかもー!顔はすっごくカッコいいと思うけど…。
ってか、ね。
あたしずっと楓に言わなきゃと思ってた事が…」
まずい。
逃げられなくなる。
協力しなきゃいけなくなる。
そうだ。あたしが先に気持ちを言ってしまえば、アミは協力してくれるんじゃないだろうか?
そうだ、そうだよ。
言ってしまおう。
先に手を打ってしまわなくては…
だけど。
言えなかった。
卑怯なあたし。言っても言わなくても、考えてる事が姑息過ぎるんだ。


