霞んだ視界の先、
開かれた瞳に映ったのは
横たわる自らの死体。

それを、ただ、立ち尽くして見下ろす。

張り詰められた糸が裂け、
軋み、崩れ落ちる音がして。

足元に広がった暗い海には
波紋が小さく無数に散った。

引き摺り込まれた其処には
底が在るように見えて、在る筈もない。
沈むことに抗う力もなく。


何処かで貴方の声がするけど、
それも幻。




・・・あぁ、
見下ろしていたのは私じゃなくて、
見下ろされていた死体が私だった。