コイツ、何言っちゃってんの!?


頭にきたあたしは、今も絡まったままの楓の腕を思いっきり抓った。


「痛ってー!!」


楓の悲鳴と共に、やっと体が自由になる。


何て凶暴な女だよ……と呟きながら腕をさすっている楓を、ギロッと睨みつけた。


「いつ、あたしがあんたのこと好きなんて言ったよ?」

「あんなの、ただの冗談だろうが。いちいち真に受けんなよ」


全く反省してない楓の態度に、再びイラついてくる。


「いつも言ってんでしょ!?こういう冗談は止めてって……だいたいあんた、彼女いるじゃん!」

「はあ?なんでそこで彼女の話になんの?」


楓は怪訝そうな顔をこちらに向けた。


「は?楓、彼女いんの?じゃああの噂はホントなのかよ!?」


……まだいたのか、健一。


「噂ぁ?勝手に人の噂してんじゃねーよ」

「……」


いつもこうだ。


楓には、同じ学年にいる幼なじみの女の子と付き合ってるという噂が流れていて。


本人は、その話をすると急に機嫌が悪くなって、絶対に語らない。


「……何で隠すの?可愛い彼女じゃん」