結論から言えば、グレアムには自らの回し蹴りを爆風を利用して回避するコーラルが見えていた。
 回避後に背後に回ることを予想し、スラストフェザーを発動。逆にコーラルの背後に回って大剣をつきつけた……というわけだ。

 すべては計算された動作。圧倒的な実力差。
 それがわかっているからか、コーラルは溜め息を一つ吐いて肩を落とす。

「まぁそう落ち込むなって。俺達から見りゃコーラルだって十分強いんだ。隊長は別格さ」

「フリッツ……」

 コーラルの肩に手を置き声をかける青年、フリッツ・ハーデン。
 第七執行部隊所属で階級はコーラルより五つ下の三曹。
 コーラルと同い年で同期。コーラルにとっては親友とも呼べる存在だ。

 今回の模擬戦の観戦者の一人。

「そうそう、隊長がアビリティスペル使うところなんて任務以外で初めて見たよ」

 そう言ってコーラルの頭に手を置くのは同じく第七執行部隊所属、リリィ・アリスン。
 第七執行部隊の後衛を勤める女性で、階級はコーラルより一つ下の二尉だが、コーラルにとっては姉のような存在。

 リリィは笑いながらコーラルの鮮やかな銀髪をくしゃくしゃにしていく。

「やめてくれよリリィ」

「照れない照れない」

 前衛を勤めるコーラルとフリッツ。後衛を勤めるリリィ。そして中央に立って指揮を取る隊長のグレアム。これがSIREN第七執行部隊のメンバーだ。