混沌のグリモワール~白銀の探求者~


 訓練後、管理部に呼び出されたグレアムは、室内の一席でレイチェル・リーネを待っていた。

「度々呼び出しちゃって悪いわね」

 そこへ、一冊のファイルを持って現れるレイチェル。

「構いませんよ。それで、用件はやはり……」

「ええ、彼女、ソフィア・ニーグワイスについて調べがついたわ」

 そう言って、脇に抱えていたファイルを手渡すレイチェル。

「…………予想通り、ですね。やはり彼女が……」

「そう、彼女こそが、上層部の探し物、『魔導書(グリモワール)の読み手』よ」

「それならば、彼女が狙われていた理由も頷けます」

「SIRENの調査機関を持ってしても見つからなかった読み手の存在を、なぜ知っていたのかは疑問だけど、今回彼女を狙った連中は八年前、グリモワールを持ち出した犯人の仲間と考えて、まず間違いはないわね」

 少人数のグループなのか、もしくは巨大な組織として成り立っているのか、なんにしても――

「彼女を犯人達の手に渡してはならない」

「ええ、改めて、第七執行部隊には彼女の護衛をお願いするわ」

「了解。やはり、上層部への報告はなしですか?」

「読み手が実在するとわかった以上、上層部も簡単には信用できない。しばらくはこのレギアス支部で匿いましょう。幸い、彼女に選ばれた者もいるようだしね」

「……はい。それでは、失礼します」

 レイチェルに一礼してから、グレアムは管理部を後にした。