確保した二人の男と、保護した少女を連れてヘリが止まっている村のはずれまで戻ると、コーラル以外のメンバーはすでに全員集合していた。

「遅かったじゃねぇかコーラル」

「ちょっと色々あってね……」

 グレアムの隣に立っていたリリィも、コーラルの元に駆け寄ってくる。

「ねぇコーラル、その子どうしたの?」

 コーラルの左腕にしがみつく少女を指差すリリィ。
 土で汚れた白いワンピースを纏った少女は随分とコーラルに懐いている。

「おいおいコーラル、生意気に美少女をお持ち帰りかよ」

「そんなんじゃないよ。こいつらに追われてたところを保護した。それだけ」

 魔力で作ったロープで縛っていた二人の男を隊長であるグレアムに引き渡すコーラル。
 ヘリの近くには十人ほどの男達が同じようにして拘束されている。

「隊長、こいつらの持ち物からこの少女の写真が出てきました」

「つまり、対象の狙いはこの少女だったということか」

「恐らくは」

 グレアムは数秒思考した後、再び口を開く。

「とりあえず、狙われていた以上は危険が及ばないよう保護する必要がある。キミもそれで構わないか?」

 少女は一度コーラルを見た後、首を縦に振った。

「御主人様と一緒にいられるなら」

 その瞬間、時が止まる。
 ――――――

「御主人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 リリィとフリッツの表情が驚愕の色に染まる。
 グレアムも表情こそ崩さないものの、内心は驚いていることだろう。

 コーラルは冷や汗を流しながら、弁解するのは大変だろうな……と、一つ大きな溜め息を吐くのだった。