「オラッ!」

 魔力を込めた男の剣撃。それをコーラルは前方に魔力壁を展開して弾く。

 そしてすぐさま反撃。イクシードの峰を前にして、振り抜く。
 魔力を込めたその一撃は、男の魔力壁をいとも簡単に破壊し、鈍い音と共に男を弾き飛ばした。

 まずは一人……

 残りの一人、後衛の男の銃が再び火を吹く。
 放たれるのは魔力弾ではなく、一筋の閃光。
 中級射撃魔法の一つ、『アトミックレイ』

 コーラルはそれをブレイズレギンスを駆使して回避。
 ブレイズレギンスによって高められた瞬発力により、一歩で対象との距離を詰める。

 男の表情が驚愕の色に染まる。

「白銀の髪、炎の足鎧。まさかお前、執行部隊の……」

 SIRENに入ってから九年、コーラルは数え切れないほどの事件を解決してきた。

 眩い白銀の髪。一瞬にして距離を詰めるそのスピードはまさに光のごとし。

 故に悪人達からはとある異名で恐れられている。それが――

「白銀の閃光……」

「くらえっ!」

 魔法壁を展開する暇も与えず振り下ろされるイクシード。
 峰打ちの為死ぬことはないが、魔力を込めたその一撃は、男を気絶させるには充分過ぎる威力を持っていた。

「対象確保。イクシード、グレアム隊長への報告よろしく」

『了解しました、マイマスター』

 報告をイクシードに任せ、コーラルはこちらを見つめる少女の元に駆け寄る。

 その少女は髪の色から着ている洋服まで、すべてが雪のような白に染まっていた。

「キミ、大丈夫? 怪我はない?」

「…………けた」

 少女から発せられる小さな声。コーラルはそれに耳を傾ける。

「見つけた。ボクの御主人様!」

「…………はい?」