桃色の魔力光がリリィのアクゼリュスに収束。
 放つのは上級砲撃呪文(バスタースペル)、『エクスキューションブラスト』

 アクゼリュスから放たれる直径一メートルに及ぶ魔力砲撃。
 それはアダマンタイタスの頭部に向かって空中を真っ直ぐ走り、寸分の狂いもなく額に直撃した。

 膨大な魔力ダメージに苦しむアダマンタイタス。轟く魔法生物特有の砲口。
 それに追い討ちをかけるように、第二撃、グレアムの上級バスタースペル、『グロリアスシュート』が発射される。

 螺旋を描くようにして進む薄緑色の魔力光は、コーラルの一撃によって魔力光を、リリィの一撃によって外殻を破壊されたアダマンタイタスの頭部を完全に消失させた。

 脳を破壊されて生きている生物はいない。
 それは魔法生物に対しても同じこと。

『任務終了ですねマスター。お疲れ様です』

「あぁ、イクシードもお疲れ様」

 コーラルはもう動かないアダマンタイタスに背を向けると、アダマンタイタスの右足を止め続けていたフリッツの元に駆け寄った。

「フリッツもお疲れ」

「コーラル、それとイクシードもな。相変わらずすげぇ威力だよなお前らのそれ」

『それ』というのはバーストドライブのことだろう。
 長年イクシードと共に戦ってきた中で編み出したコーラルだけのスキル。
 爆薬化するタイミングを間違えばただの自爆技となってしまう為、相当の集中力が必要になってくる。

「一撃の威力だったら隊長達のバスタースペルにはとてもじゃないけど勝てないよ」

「まぁ、確かにあれはすげぇよな」

 フリッツとの会話に笑顔を零す白銀の青年。

 九年前の事件の唯一の生き残りであるコーラルは、第七執行部隊の仲間達と共に、日々最前線で戦っている。