白のアリア

狼は質問には答えずに
立ち上がり、何かつぶやくと、
たちまち人の姿をとりだす。




全身黒い服に深緑色の髪。



無表情で、怖そうな表情をしているが
相変わらず湖色の瞳は神秘的なまま。




「…ソルジエだ」



そういって私より少し離れた
木の幹に体を預けた。




…ソルジエ…。



不思議な、感じがする。




私が興味津々に見ていると
視線に気づいたのか、彼は
嫌そうに言った。




「…夢巫女のところに戻れ。
清杯の儀はまだなんだろう」




無口な人なのかな。



一見、怖そうな印象を
与えなくもない。




表情なんて全然変わらないし
冷たい感じはするし。




口数も少ない。




でも私は、不思議と怖いとは思わなかった。




「…うん、だけど…。

もう少し、ここにいたいから。


…だめ、かな?」




彼は私の言葉に少しだけ黙って、




「…勝手にしろ」




「うん、勝手にする」



私はくすくす笑って
ソルジエを見ていた。