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「待ってよ、フゥ!」
「ほらセイ!早くしないと罰ゲームになっちゃうぞ~」
「やぁだ~!
そもそもこんな狭いとこで鬼ごっこなんてムリだよ~」
半泣きになりながら目の前の少年を追いかける。
私は、セイ。
本当の名前じゃない。
知ってるけれど、「真名」は口にしないのが掟なんだって。
「まったく、そんなじゃまたあいつらに怒られるぞ?
息切らしてる!しゅうはに異常をきたした~とか言って」
「フゥのせいでしょ!」
彼はフゥ。
少し前から私と一緒にここにいる。
イジワルするけど、私はフゥのことが大好きだ。
「きゃっ!」
こけっ。
「大丈夫か!?」
あわててフゥが走ってくる。
「…えへへ、ちょっとすりむいちゃった」
するとザザッと白い機械がやってくる。
怪我を見ると軽く治療をして行ってしまった。
「…まったく、治療なら俺がしてやるのに」
「いいよ、フゥ。仕方ないもん」
私たちがここにいる理由は、たったひとつだけだ。
そのたったひとつの「理由」は、ある意味特別でもある。
「…なんで私たちなんだろうね」
背中に生えた白い羽。
その羽に影響が出ては困る。
ただそれだけのために生まれたあの機械。
怪我を心配しているのではなく、
羽に影響がないかどうかを心配している。
「…こんなの、なかったらよかったのにな」
「しせつ」に連れてこられたのは
私とフゥの2人だけ。
私たちは、ずっと、もう何年もこの中で暮らしている。
私たち以外誰もいない世界。
外へ行きたいと願っても、許してくれなかった。
たまにやってくる白い服を着た人たちは、
私たちをけんさして帰っていく。
いつもいつも同じ日々。
逃げようとも、思わなくなってしまった。


