「……むかしむかし、とても優しいお姫さまと
王子さまがいました。
2人はとても仲が良く、兄弟のように育ちました」
「………?」
「ある日王子さまはお姫さまに呪いをかけ、
眠りから覚めないようにしました。
王子が姫に別れも告げずに国を去ったからです。
そして眠りから覚めたお姫さまは、
王子のいない世界をみて大層なげき悲しみました」
ドクン。
「……っ」
「…そしてお姫さまは、悲しみのあまり、
肉体と精神、2つの自分をつくったのです」
「……なにを言って……っ」
「本当に、何も思い出さないの?」
「えっ…?」
「『半分』は僕が作り変えたけど……
忘れるはずなんて、ないよね。
大切な大切な、『王子様』のこと……」
王子、様………
『いやだ!やめろーーーーッッッッ!!!!』
ドクン。
『……ひとりに、しないで……』
チカチカと、脳裏によぎる、何か。
「い、いやっ……やだ!!」
飲み込まれる。
自分が、自分でなくなる。
「やっ、いや!やだああああ!!!」
『みんな、大好きだよ!
だから……さよなら』
頬を、一筋の涙が伝った。
……たすけ、て……みんな……。
目の前が暗くなった。


