白のアリア

さわさわと木々を揺らす風の中。
その森の中心で、フィーネはしゃがんで
いつものように風の音を聞いていた。




「……隠れてなくていいよ。
さっきから、わかってたし」



すると奥からアイビスが姿を現した。



フィーネはそれを見ると立ち上がり
ひたと正面から見つめる。



「逃げないのか」



「…逃げてたって変わらないでしょ」



本当は怖い。



やっぱり、体にうそはつけなくて。



肩が小さく震えて、
見つめる瞳も、どことなくゆれていた。




今までずっと逃げ続けていたこの少女が
そこまでして決意したのは。やはり。




……あの娘か。




希望の象徴と言われる夢片鱗。



その夢片鱗を主と慕う守護者たち。
彼らの絆は、特別な、切れないもので。




それゆえに、彼等はいつも彼女に救われていると?




信じ難かった。
信じたくも、なかったが。





「……なにをしにきたの?」



私を連れていくならさっさと連れていくのに。



こんなもったいぶった真似、するわけない。




そんなことは長年の付き合いでわかる。