白のアリア

その様子を見た夢妃は苦い顔をしたまま続ける。




「…昔、といっても色羽が世界を救った
少しあとのことだ。


治安が良くなり平和になった世界では
無数の金が有り余り、貴族や研究者が
無駄なことに金を使うようになった」



貴族の間で人身売買や黒魔術、
儀式的なものなど種類はさまざま。



世界を平和にしたことで
逆にマイナスに働いたものもあった。



「…その時代の中で
ひとつのプロジェクトが発足した。


人体実験……。
奴等は人間をどこまで強くできるかっていう
限界を見極めるためにそのプロジェクトを
たてたんだ」



「…ひどい…」



…だけど、どうしてこんな話を?



不思議そうにする私に夢妃は続ける。




「…人工で人間に域を超えた
力を与えるなんて無理がある。


そんなことは承知の上だったし
実際誰一人成功しなかった。


…そんなときだ、ある2人によって
全てが変わったのは」



ドクン。


…な、なに…?



わからない。


ただ、この先の夢妃の言葉に
言い知れぬ不安を感じた。



不安を抑えるように胸をギュッと握る。




「……あるひとりの研究者が
2人の子供を見つけた。


…1人は女、もう1人は男。


別に普通の子達だった。
ある点を除けば」





「……羽が、生えてたんでしょ…?」




ピクッ。




「…唯…」



言葉をつなげた私に驚いた夢妃。




「…見たんだな…」



そっと、頭をなでてくれる。




……っ。




ぽろぽろと涙をこぼす私に、
そのまま続ける夢妃。




「…その2人は隔離されて
綿密に調査が行われた。


今までの人体実験なんか放り出して
2人に没頭してな。


…けどいくら調べても2人のことは
なにひとつわからなかった。


羽が生えているということ以外、
2人は全く謎の存在だった。



……そして、あの計画が実施された」