白のアリア

「…つらい思いをさせていたなら、謝るよ」



そういって私の目の前に降り立ち、
そっと頬に触れる。



「…ただもう少しだけ、
真実を知らないままの君を
見ていたかっただけなんだ」



…真実…?




「…え、それはどういう意味で…」




不思議そうな私に冴は哀しげに笑みを
浮かべて、言う。



その、美しい形をした唇で。




「…朧…」




ドクン。




「……え…」



な…に……?



体中が、音を立てて脈打った。



どくどくと大きく胸は鳴って
全身が熱くなる。



大きな大きな何かに、
圧縮されそうになる。




…な、に?
…この感じ、知ってる……。




覚えのないはずなのに、
体は覚えていて。



ふるふると打ち震える私を冴がそっと抱きしめた。




「…大丈夫。
俺はここにいるよ」




「…あ…あ……!」



なつかしい感触にとたんに震えは収まる。



「……な、に。今の…」



いやな感じだった…。





「……体は正直だね。
唯は覚えていなくても、魂は覚えてる」



…魂…?