白のアリア

「…スピカ。

私、このままここにいていいのかな」




思わぬ私の言葉にスピカが驚く。



『なぜ?

唯はみなに必要とされているんだろう。
唯が残りたいのなら
去る理由などない』



確かに、スピカの言うことも一理ある。



だけど。



…最近、自分が自分でよくわからなくなってきた。



そもそも夢片鱗というのが
なんなのかよくわからないし。



ホムンクルスや最果ての鴉にも
気に入られるほど、
夢片鱗がすごいのだとも思えない。



…そしてなにより、
あの夢の謎……。




日を追うごとに、だんだんと鮮明に、
だんだんと長くなってきている。



そしてなんとなくだけれど、
全ての夢がつながっている気がするのだ。



見れば見るほど、
見てはいけないものに近づいている気がして。




「…わからないの、スピカ。

私は…」



私は、どうしたらいいの…?



うつむいた私をなぐさめるように
翼を広げて覆ってくれる。



『…俺はムヘンリンとか
そういうものはわからない。

…ひとつだけいえるのは
唯が好きってことだけだ。


唯が唯でいてくれるだけで
俺はいいと思う』



優しい水色の瞳がそういって。



私も小さく微笑んだ。



「…うん、そうだね、スピカ…」


私が、私であるために……。