「唯ー!
遅刻するよ~!!!」




「えーっ!
待ってー!!!」





ダダダダダっ…!!!





猛スピードで階段を駆け降りて





出がけにサッと
写真に手を合わした。




「ではっ、お母さんお父さん!
いってまいりますっ」





1年前、私に人生最大の悲劇は起きた。




崖からの転落事故。





ちょうど、旅行の帰りだった。






私はただ一人家で2人の帰りを待っていたのに
2人が帰ってくることはなかった。







でも私はその悲劇からも
立ち直り、今こうして普通に生活している。







2人が、見守ってくれていると信じて。







「…あ、結局置いてかれたのかー・・・」





はぁっとため息をついて、
私は歩きだした。