白のアリア

「…それで?
どうしてここにいる」



ドキ。



にこにこしている彼女だが
その腕の中にいるフィーネの表情は
明らかに違う。



何かあるのは明白だった。




「……私にも、わかんないんだ」



強くて、明るくて。



その凛とした感じとはかけ離れた
今の彼女。


震えて、何かにおびえるようにすがる。



私の知らないフィーネちゃんを、
見ているんだろうな……。



ぼんやりだけれどそう思った。



でも、関わっちゃいけない。



自分から話してくれるまで絶対に、
聞いちゃいけないんだ。



本能的にそう思ったのだ。



だから。




「……で、わかんなくなって
歩いてたらいつの間にかここに来てた」




まっすぐ目を見て、そういう。



深い海色の瞳は私の姿を映して
一瞬目を伏せてから視線を森へと移した。




「……そうか」



ソルジエはそれだけ言って、もう何も言わなかった。



私もうなずきながら微笑んで何も言わなかった。




森の木々を静かに、柔らかな風が吹いた。