白のアリア

サァァァ……。



やさしい風が、小さく花を揺らした。



木々は風とたわむれ
楽しげに踊っている。



その音たちを聞きながら木のうえに
座っているフィーネ。




「……」


もともと『物』の声を聞くという
不思議な能力を持つ彼女にとって
こういう時間は一番好きだった。



そんな、とき。



ピクッ。




「……だれ?」



とっさに木から降り立って弓矢を構えた。





しかし。




その表情に浮かんだのは、驚嘆と動揺だった。





「……アイビス……」




エメラルドの瞳の中には、
厳しい顔をした漆黒の髪をした男がいて。




笑うこともなく、何の表情も見せないで。



ただじっと、フィーネを見つめていた。