白のアリア

「…でも、じゃあなんであんなに
そっけない態度とるんですか?


…守ってくれるんだったら、
もっとこう、フレンドリー…っていうか。


…ソルジエの考えてること、
全然わからないんですけど……」



フィラさんは、また静かにほほ笑んだ。




「…ふふ。

それも、唯様のためなんですよ。


あの方は、本当に優しい方なのです」



…私の、ため……?





…ソルジエは、過去の私を知っていて。



でも思い出すことには、反対していて。



なんだかんだいいながら、守ってくれて。



…でも態度は、そっけなくて……。



それって……。



「…過去というものは、
いくら忘れていてもそれに精通している者がいれば
いつかは呼び起こされてしまうものなのです。


近くにそのような人がいればいるほど……。


思い出す確率は、高まる。
それが、いかなる場合でも」



フィラさんはそう言って、哀しく笑んだ。




「…ソルジエ様は本当に、
唯様を大切にしていらっしゃるんです」



「…ふっ…うっ……」


視界が、にじんだ。




……そっか…。


そっけない態度とってたのは、
私が思い出さないようにするためだったんだ……。



でも、いざというときは絶対守ってくれて……。




「…ソルジエっ……」



泣きじゃくる私をフィラさんは静かに抱きしめてくれた。



「…大丈夫ですわ。
いつかきっと、ソルジエ様にとっても、
唯様にとっても、幸せな結果が訪れる日が来るはずです。


信じてください」




「……っ。はいっ……」



今はまだみえない、真実の糸。



それがどんなに恐ろしいものだとしても、
私は受け止めたい。



私をこんなに思ってくれる、
大切な人たちのために。




夜空には、月。


月は寒空にあるはずなのに。



暖かい光を宿して、
静かに。


私たちを照らしていた。