白のアリア

「…どこ行っちゃったの」



矢を射ながら逃げるなんて
無理に決まっている。




ならば矢の向かってきた方向を
追えば犯人がいると思っていたのだが。




現実はそう甘くない。




「……また、何もできないよ」





無力な自分が嫌になる。





【夢片鱗】ともてはやされたところで
結局力がなければただの人間だ。





やっとここにいる理由ができた。



そう思って特訓だって始めたのに。




結局、守られるだけの……




「…ッ」




こぼれそうになる涙を、ぬぐう。




「…行かなくちゃ」




泣いてちゃダメだ。




泣いてたって何も始まらない。


進まなければ。




そしてまた、唯は走り出した。




その影は、もう城にはなかった。