白のアリア

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ベランダに出て出る準備をしていた
夢妃は後ろにいる女性に声をかける。





赤紫のつややかな長い髪に
服は法衣のような、白を基調とした服だった。




彼女は星。




夢妃に仕えし執事 兼 治癒魔法士でもある。





幼少より夢妃の面倒を見ており、
家族よりずっと近くにいた。





今となっては、夢妃にとって最も信頼する存在。





「星(セイ)、どうした浮かない顔して」




「……夢妃様は、『鴉』であることを
嫌っていらっしゃるのかと…。


先ほどのような口調では
いずれ反抗する者も出てきてしまいます」




白いローブを渡しながら
星はつぶやいた。




「んなことはとっくにわかってるさ。

上のジジイ共が何を言おうが、
俺は考えを曲げるつもりはない。



…ただ、まぁ」



一度区切ったその言葉に星が反応する。





「おまえの言うことは
あながち間違っちゃいない。



…嫌いって言ったら極端だが、
少なくとも『鴉』でいいと思ったことはないな」




「…夢妃様…」




渡されたローブをはおりつつ
口の端を吊り上げる。




星は特別表情を変えるわけでもなく
その場から少し下がる。




「星、これからたぶん組織内で
何らかの動きがあるはずだ」




「?」




「おまえはそれを深入り
し過ぎない程度に調べろ。


俺が戻ってきたときまでがタイムリミットだ。いいな?」




その瞬間、魔法陣と黒い翼が一気に現れる。




星は、少しだけ微笑んでいた。




「承知しました。


…夢妃様、いってらっしゃいませ」




「ああ、いってくる」



そして、夢妃の姿は見えなくなった。