白のアリア

それを言うと、少しだけ。




少しだけ、紫花が
哀しそうな顔をしたように見えた。




「…本当に、何も覚えてないのですね」




…え?




ぼそりとつぶやかれた言葉は
よく聞こえなくて。




「……真実を、知りたくはないんですか?」




…真実…。





「…何の力も持たない、
ただの異世界の住人が、


なぜ虹空を救うとまで言われる夢片鱗に
なりえるのか…


理由を、考えたことはないのですか?」




ないわけがなかった。






ただ異世界から来たというだけで
こんなにもたくさんの出来事に
巻き込まれる。





それなのに今現在自分には
何の力もなく、その力が現れる保障すらない。






あるのは、私を守ってくれるという、
あの4人の『信じる』という思いだけ。





「まぁ、あなたには
耐えられないかもしれませんが」




……知ったら、耐えられない真実……。




いったい、なに…?





ピクッ。



いきなり紫花が反応し微笑んだ。




「…どうやらお客さまのようです」