その世界には
『色』がなかった。






ただただ白いだけの世界で




たった一人の少女が
背に翼を広げて唄っている。





澄んだその声は
おそらく空であろうその場所に、





高く高く響き。





そして切なく哀しく吸い込まれていった。








少女は瞳に涙を溜め、
翼を大きく広げて飛び立った。








あとに残るは





白い羽と





色づいた世界だった……………