「桜は………………」
そう言って圭吾はゆっくり自転車のスピードを緩める…
桜という呼び捨てにした名前に私はドキッとしてしまった…
呼び捨てなんだ……
幼なじみだもんね…
「確かに春樹が言った通りに…俺の初恋だったのかもしれない……だけど…一生大事にしたいって思えた人は雪乃だけ…」
「……………うん…」
私は…『…うん……』と答えるのが精一杯で…
私に言ってくれた圭吾の優しい言葉が私の心の中で何度も何度もこだました…
自転車のスピードはゆっくりとしたままで…私の家までの道をゆっくりと進んで行った…
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