土下座する勢いでお願いしたあたし。

「そこまでいうのであれば叶えてやろう。
気をつけるのだぞ?」

そう言って、手にもっていた杖を少し持ち上げた。


「そこに行って立っておれ。
目をつぶって10数えるのだ。

そして目を開けよ。
目を開けたら、そなたの部屋に着いているはずだ。」

そう言われて、示された場所に立って目をつぶった。


1、2、3、4、5…


「…残された者は、そなたがいなくなったとき、どう思うのかのぉ?」

おじいさんの呟きが聞こえた気がした。
どういうこと?


6、7、8、9、10…



ゆっくりと目を開けると、見慣れた場所。
大好きなオレンジ色に彩られたあたしの部屋。


鏡の自分を見ると、スカートをはいていた。