零の狼-新撰組零番隊-

「このっ…!」

その挑発とも取れる表情に反応したのは一七夜月さんだった。

男の立っているビルの屋上へと駆けて行く。

「一七夜月さん…!」

当然私も後を追った。

見れば分かる。

一七夜月さんは早くも冷静さを欠いていた。

一人で斬り合いに挑むには危険すぎるほどに。

「祝!」

後を追う私に対して、一七夜月さんが言う。

「ついてくるな。奴は…『首刈り雲母』は俺の獲物だ…!」

一七夜月さんは七種雲母と直接の面識がある。

彼がそういうのだから、やはりあの男は七種で間違いなかったようだ。