零の狼-新撰組零番隊-

その暗殺の手際に戦慄すら覚えていると。

「祝」

一七夜月さんが私の名を呼んだ。

…その視線は上。

ビルの屋上辺りを凝視している。

自然、私も同じ方向に目をやる。

…そこに、彼はいた。

藍色の長い髪。

深紅のレザーのパンツ。

上半身には何も纏わず、引き締まった体躯を見せ付けるように、素肌をさらす。

妖しく濡れた鮮血の如き赤い唇は、愉悦に歪んでいた。

両手には、血に濡れた鎌。

天に輝く満月が、欠けた末に出来上がったような、鋭く輝く三日月のような鎌だった。