その時だった。

「!」

突如、けたたましく鳴り響くサイレン。

救急車、パトカー、或いはそのどちらもか。

…繁華街の方が何やら騒々しかった。

不夜城のあの街は、昼夜を問わず騒ぎが起き、救急車やパトカーの往来も珍しくはない。

が、今夜のそれは少々騒々しすぎた。

私と一七夜月さんの決闘の緊張の糸を緩めるほどに。

不穏な何かがあったのか。

そう想像させるには十分な喧騒だった。

「…お預けだな」

先に納刀したのは一七夜月さんの方だった。

「こういう時に野次馬根性が騒ぐってのは、難儀だな」

「……」

私も内心笑みを浮かべる。

一七夜月さんの言葉よりも、決闘を回避できた事に、どこかほっとしていた。