零の狼-新撰組零番隊-

一七夜月さんが腕組みする。

「随分と変わり者のようだな、六郎面って奴は。こんな場所で待ち合わせなんて色気がない」

「……」

どうも一七夜月さんは無駄口が多い。

私は彼の言葉に異議も同意も示さないまま、黙ってその場に佇む。

…河川敷は静かだ。

風と、それに揺れる葦の音以外、何も物音は聞こえない。

本当に六郎面さんとの合流場所はここで間違いないのか。

そんな疑問を感じてしまうほど、人の気配は感じられなかった。

と。

「髪が傷んでいるな」

突然、私は背後からポニーテールを掬い上げられた。

「任務にかまけて手入れを怠っているな?髪は女の命だぜ…?」