繁華街を抜け、しばらく歩き続けると視界が開けてくる。

目に飛び込んでくるのは、ネオンから遠ざかった穏やかな風景。

河川敷。

不夜城から数キロも離れていない場所には、都会とは思えないようなのどかな風景が広がっている。

街灯もなく、人通りもなく、車の一台すら通りかからない。

深夜ともなると、川のせせらぎを楽しみながら散歩する者すらいなくなる。

時折、風が生い茂った葦を揺らし、ざわざわと音を立てる。

その音が、闇の中では不安を掻き立てた。

…古来より剣客は、攻め易く逃走し易いように、川を拠点として行動する事が多い。

その名残なのか、六郎面さんとの合流場所も河川敷だった。