一七夜月さんは続ける。

「やれゲームが、漫画が、テレビ番組がって、世間はイカレた殺しを世の中が変わったせいだなんて言うけどな…そんなものがなかった時代にでも、愉悦で人斬りをする奴はいたんだ…血に魅せられるのは世の中のせいじゃない。『ここ』さ」

彼は自分の胸を親指でトントンと突いた。

「性根、心根、精神…まあ言い方は色々だがな…芯の所が腐っちまった奴が、よじれて歪んで腐った方向に走る。それを世の中のせいにしちまってるだけさ。甘ったれにも程がある」

「……」

驚いた。

正直、私はその…一七夜月さんも、その『芯の所が腐った』人間だと思っていたのだ。

だから新撰組には相応しくないと思っていた。

だけど…。

「そういう連中を正すのが、俺達の役目なんだろ?祝」

一七夜月さんは私の顔を見て、また例の薄笑みを浮かべる。

「…無論です」

少し彼を見直した私が馬鹿だったかもしれない。

一言言ったきり、私はまた黙々と歩いた。