『ね、千秋君!!』
叶の隣にいる千秋君に身を乗り出して聞けば、困ったように眉を下げられた。
「んー、そうかな?俺は違うんじゃない?」
『ほら、そういう謙虚なところもかっこいい♪』
「へぇ。千秋みたいなのが現代の、王子様って言われるやつか、……お?」
急に叶の視線があたしの後ろに注がれて、ついついあたしも振り返った。
「…あ、いたいた」
『純じゃん。どしたの?』
「ちょっと莉愛に頼み事あって」
頼み事?
遠くから歩いてくる純を眺めながら首を傾げて考える。
「明日なんだけど、弁当作ってくんない?俺の」
『純の?なんで?』
「や、なんか親が明日いないらしくてさ。いい?」
ふーん、と小さく頷いたあたしは「いいよ」と笑顔を向けた。
「さんきゅ!!じゃあまたなー」
『はいはーい』
にっと爽やかな笑顔を向けてくる純に手を振った。

