「んー…」
ぶつぶつ唸りながら膝に顔を埋めて悩む叶に、希美がにっと微笑む。
「へぇー?考えるってことは…いるんだね」
『……!!』
叶…好きな人いるの?
あからさまに不安そうな顔で叶を見つめる莉愛に、希美が目を細めて小さく笑った。
「いた。好きなやつ」
パッと顔を上げた叶は満足そうにふわりと笑って希美を見る。
――ズキリ、ズキリ。
もやもやとする胸の痛みに気が重くなり目を伏せた。
誰だろう…。自分大好きな叶が恋しちゃう女の子って。
「つーか悩まなくても決まってたし。悩んだ時間ムダだった」
…そんなに自信満々に言える子なんだ。
「俺の好きな人、俺♪理由?世界一可愛いからに決まってんじゃん」
……あぁ、馬鹿だ。
「はぁ…期待したあたしが馬鹿だった」
『本当!!世界一可愛いのはこのあたしだもん。しかも理由聞いてないし!!』
なんか、ムカついたけど。
その分……ほっと安心した自分がいたのは確か。

