*叶*
「……う、かなうーっ!!起きなさぁい!!」
……うざい。
『…あぁ〜、眠い…』
夢の世界から急に現実に戻ってきた俺は、目をつぶったまま小さく呟いた。
「起きろー、叶の分食べちゃうからね」
…やだ……、その前に。
『…………近くね…?』
パチリと目を見開けば、目の前に莉愛がいた。
「叶が起きないからじゃん」
すごく近くで悪戯そうに微笑む莉愛に、少し戸惑ってしまった。
『…離れろよ』
「え?なんで?」
『なんでって…、あぁー…』
ドキドキしすぎて心臓がやばいから。
『なんでもねぇ…』
言いかけて、…やめた。
よく分かんねぇけど…
なんか…言わないほうが良いと思った。
「なにそれー」
あはは、と目を細めて無邪気に笑う姿を見てると胸ん中が痛くなって…、
『あ゙あぁー…うぜぇ…』
なんなんだよ…俺、最近おかしい。
意味分かんねぇよ…。

