『叶、手貸して』
「………はー?」
寒くて元気がないのか、抵抗も無しに大人しく手を差し出してきた。
『わ。本当冷たい!!』
白くて細い叶の手を握れば、予想通りひやっとしてて冷たかった。
「…あったけー……眠くなってきた」
テーブルとフードの隙間から見える目が、うとうとと眠そうに瞬きしている。
「………」
「…莉愛、叶寝てない?」
『……寝てるね』
希美がフードを少しめくってみれば、完璧に熟睡した叶の寝顔があった。
本当にすぐ眠っちゃうよね…。
「可愛い寝顔…」
くすっと微笑んで言う希美の言葉に、視線を叶に移そうとしたとき。
「あれ、ひめ寝ちゃった?」
困ったように眉を下げてあたし達に近づいてくる千秋君の声がした。
「ごめん莉愛ちゃん、ひめ起こしてくれる?」
『はーいっ』
千秋君のお願いだから叶を起こしてあげましょう!!

